そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

ナイスガイズ!

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監督:シェーン・ブラック 脚本:シェーン・ブラック、アンソニー・バガロッツィ

 

ライアン・ゴズリングラッセル・クロウが共演し、「アイアンマン3」のシェーン・ブラック監督がメガホンをとったバディムービー。
シングルファーザーで酒浸りの私立探偵マーチは、腕っ節の強い示談屋ヒーリーとコンビを組み、失踪した少女の捜索をすることに。そこへマーチの13歳の娘ホリーも加わることになり、3人で捜索を続ける。しかし、簡単に終わるはずだったその仕事は、やがて1本の映画にまつわる連続不審死事件、さらには国家を揺るがす巨大な陰謀へとつながっていく。3人は襲い来る殺し屋に命を狙われながら、事件解決にひた走るが……。(「映画.com」より)

 
ライアン・ゴズリング、「ラ・ラ・ランド」と同時期にこれ公開されても…とw
しかしラッセル・クロウグラディエーターの面影がまったくなくて、これはこれで好対照な二人だった。そこからして組み合わせに難ありすぎておかしいんだけどw
内容も普通に爆笑した!声出して笑っててOKな感じの映画だったんで気兼ねなく笑ったよw こういうノリの映画大好き!(笑)
70年代設定ならではのバイオレンスアクションに健康的なエロ。しっかり者の娘とダメダメすぎる大人二人のやり取りがゆるすぎるC調バディものムービーで、モラルなしのイカれたダメ大人のマーチ(ライアン・ゴズリング)となんでも暴力で解決しようとする単純ストレートだけど妙に生真面目なヒーリー(ラッセル・クロウ)が思った以上にいい組み合わせ。そこに割って入るマーチの娘のホリー(アンガーリー・ライス)の、ちょっとおしゃまでマセたしっかり者で歯止めになってるのがいい。

しかしこれ1977年じゃないと許されない描写ありありすぎる。
でも裸は出てもセックスはなしでエロというよりお色気というべき健康的な雰囲気だし、バイオレンスも暴力というよりあの当時の当たり前的な扱いなので、逆に淡々としててむしろある意味牧歌的な70年代のアメリカ風俗満載で楽しめた(笑)
最近70年代なドラマや映画多いけど、今の窮屈な世の中が70年代的なゆるさを求めてるんだろか?w
ただ全体に面白いしゆるい感じも文句ないんだけど、脚本は今ひとつわかりにくいよ。監督が脚本も兼ねてるのみて、ああまたかーって思ったくらい。監督脚本やるなら脚本はもう少し客観的にチェックして欲しい。
ヒーリーとマーチが別々に受けた依頼を解決していくうちに同じ人物を追ってるってわかって、協力しあって(ヒーリーがマーチを雇ってだけど)事件を追いかけるのはいいんだけどさ、とにかく事件の概要がわかりにくい。事件の概要がわかるのが半分過ぎたところって、さすがに展開としてどうかと思うし。
そもそもマーチは探偵だってわかるからいいけどヒーリーが何者なのかわかんないのも描写不足かと。(示談屋ってなんだよ)
以下超ネタバレ。
 
 
 
事件の発端はアメリアなんだけど、そもそも最初にヒーリーがアメリアと直接会って依頼を受けてるのに、そのアメリアが行方をくらましてるから探さなきゃっていう状況がわかりにくいよ。
しかも観客はアメリアを認識してるのにマーチはアメリアの顔も知らないまま探してるし、アメリアが逃げてる理由も不明。そのアメリアを探す話と冒頭のポルノ女優が死んだ話、つまりストーリーとは実は大して関係ない(最後の謎解き用仕込みだから)婆さんの依頼の話の絡み方がごちゃごちゃ。
映写技師の重要性もバランス悪いし(あの子ヴァル・キルマーの息子だってビックリ)、冒頭のマセガキがポルノ女優を見た話がまったく伏線じゃなかったし、そもそもいつを起点にしてポルノ女優が死んだとかその二日後だとか、アメリアがヒーリーに会った日も行方不明になった日も整理されてないからタイムラインがよくわからないし、観てて時系列がごちゃごちゃしてすっきりしないんだ。
おまけにアメリアの母親のジュディスが語った話とアメリアの話のすり合わせもしてないから(アメリアは逃げてるから)、どっちが正しいのかもわからないまま彼女があっさり死に、そもそも二人が追いかけてる事件の正しさ(あくまでも彼らにとっての)も彼らが事件の概要自体を把握してないってことで誰が誰を追いかけて邪魔者扱いしてるのかはっきりしなくなるから、観てる観客置いてけぼりじゃね?って思うんだけど。
殺し屋もジャネットが雇ってたのかどうなのかはっきりしないし、そもそもジュディスがマーチとヒーリーを雇って娘を探してと言いながら殺し屋を使って殺そうとしてて、おまけにその探偵たちも殺そうとしてるの?状況がまったく掴めない。
何よりアメリアの母親は結局本当に娘を殺そうとしてたの?それを仕方ないこととしちゃっていいわけ?死んでもしょうがないってこと?告発の内容は正しいんだよね?
アメリアが死んだあとはみんなで映画のフィルムを追いかけることになるんだけど、その映像も全部見せてくれないから何がなんだか。結局ポルノ女優は事故じゃなく殺されたってことで?(そもそも真っ裸で車の事故って自体おかしいし)彼女は何で殺されたの?オレがよくわからなかっただけ?
顛末自体がアメリカの自動車産業に関わってるから黒幕が誰なのかもはっきりしない。
街の人探しがいつの間にか国家規模の陰謀に巻き込まれ…はいいけど、この手のストーリーでなんかウヤムヤなまま話が流れていくのが嫌なんだ。ちゃんと一区切りづつ区切りを付けていってほしいんだ。一つの展開が解決しかけたら新たなる事実発見…で回してほしいんだ。
あの顛末を社会派的な味付けだと言うのはいいんだけど、今現在アメリカの自動車産業は衰退しててデトロイトなんかもう見る影もなく破綻してんだから(「ドント・ブリーズ」が場所設定デトロイトだよね)、そこまで突っ込んで皮肉なり風刺なりしてないとあんまり意味ないよね…って思わんでもないし。
だってそこまでして当時のアメリカ国家が守ったもの、ジュディスが娘を犠牲にして守ったものがまったく無意味だったわけだし。陳腐な顛末じゃんよ。
あと細かいところでいったら、最初の方でホリーがマーチにわざわざ誕生日のことを電話してくるから別れて住んでるのかと思ってしまうのと、家が貸家だからなんかチグハグ感があるとか。この手の批評は毎回同じこと言うけど、なんでこの脚本でOK出した?
とはいえ、映画自体はとても楽しくて面白くてサイコーだったんで、余計に惜しいと思うのですよ。
いやでも本当に映画はたいへん楽しめるのでおすすめ。おバカバディムービーとしてサイコーに楽しい。見て損はないよ。爆笑w