そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

母になる#10(終)

http://www.ntv.co.jp/haha/
脚本:水橋文美江 演出:中島悟
 
子供をさらわれた母親とさらって母親代わりをしてた女、仕事優先・子育て向いてないで母親業に悩む母親という違う立場の女性たちの考えを掘り下げ、子供の気持ちや周囲の人間も巻き込んだ子育てを見せようとして、たぶんそれは上手くいったと思われる稀なケースかも。
とにかく設定自体はファンタジー味が強かったけど、最初に思ってたような母性の話のドラマじゃなかったのは良かった。(「MOTHER」とか苦手だったんで)
産みの母親がいろんな意味で普通の人で、家庭も核家族じゃなかったってのは大きいと思うけど、夫婦がちゃんと元のサヤに収まったからこそこれでよかったのだって話かな。(この辺もファンタジーみが強いけど。普通ねーよ)
麻子さんがどんなに100点の子育てをしたとしても、彼女を母親とするわけにはいかないというのはきっちり見せてたと思う。
だからその分麻子さんは可哀想で、せめて今度幸せになって欲しいと強く願うよ。これからどこに行くんだろう…
その辺、結局結衣がやったことは麻子に対して自分が悪者になりたくないというだけの話だったと思うんだよね。深読みするけど。だって本人はそこそこ皮肉のつもりで「あなたのお陰で普通の日常が大切だと気がついた」って言ってるんだと思うけど、それがまたどれくらい配慮がないのかという…(ほんとムカつく)
でもまあ人は自分に関わりのない他人だと思ってると、自分の言葉でどれほど相手が傷つこうと関係ないし、そもそも結衣さん本人は謝罪と感謝をしてるつもりなんだよねえ…あそこで言ってることがどう捉えても皮肉でしかないってのはともかく。
もちろんそれがわかっても麻子さんはあそこでそれ以上何かを言うほどバカじゃないってことなんだろうけど。
ああやっぱりこれ、へたに1話の頭の結衣と陽一の出会いから見せられてるのがなあ。
結衣って何をどうしてもそこまで頭がいいわけじゃない、かといって状況に流されるまま何も出来ないバカでもないけど基本的にものを深く考える事ができないごくごく普通の女性なんだ…っていうのが最終回の最後の最後まで効いてるよ。
普通ならもう少し視点が違うはずのばぁばである里恵さん(と琴音さん)や親友の莉沙子さんも確実に結衣と同じ人種だし、陽一はもう少し気がきいてそうだけど結衣から伝わる時点で情報欠損と余計な感情操作があるから正しくは伝わってないだろうしそこは気にするとこじゃないし、木野さんもそこに立ち入る人じゃない&基本的には実母の立場という、何をどうしても麻子さんはその和には入れない人なのがわかるのが見てて哀しいなあ。
ドラマ的に実母のほうを持ち上げなきゃいけないってのはあるだろうけど、だからすべてを知ってる視聴者くらいは麻子さんの幸せを祈りたいのですよ。
あえてこのドラマを見る人たちはおそらく結衣や莉沙子の立場に共感するんだろうけど、ここまで毒親の影響を受けて苦しんでる母になれなかった女性を描いてるドラマもそうないと思うので、そういう意味では麻子さんのとこはとても見ごたえあった。
麻子さんを演ったのが小池栄子で本当に良かった。小池栄子がいなかったらこのドラマ最後まで見てなかったよ。いい演技をありがとう!そして脚本の水橋さんも麻子さんに救いをくれてありがとう!
そんだけ。とてもじゃないけど柏崎家の人々の幸せは肯定できないです。広くんもなんかチャラいしなあ。