そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

海月姫#8

http://www.fujitv.co.jp/kuragehime/
脚本:徳永友一 演出:石川淳一 原作:東村アキコ
 
今週はちょいイマイチだったというか、原作がそういう話だから仕方ないとしても、さすがにファッションに興味あるわけでもなく、デザインっつかイラストレーターとしてもそれが仕事なわけじゃないまったくの趣味でやってる(しかもクラゲ専門)の月海がいきなりメジャーブランドのデザイナーとして引き抜かれるってのはありえねえよ。あまりにも主人公補正が効きすぎのシンデレラドリームすぎるよなあ。
リアリティないのはその少女漫画展開もだけど、月海に才能があるって言ってた蔵之介が作り手側の知識も技術も何も持ってない、知らないトーシロだったってのも大きいけどさ。せめて作れないまでももう少しファッション業界のこと知ってようよ…とは思ったしさあ。
でもって全体には月海モテモテ無双だけど、そんなわきゃないじゃんとしか。これ原作がそうなんだろうから仕方ないけど、もう少し地に足ついたリアリティってなかったのかなあ。
あともひとつ破綻しかかってる前提が天水館含む大規模開発の話なんだけど、稲荷さんたちデベロッパーが躍起になってるのはともかくとして、地域開発推進してた鯉淵パパが立ち退き反対派の天水館の住民を許容して、しかも脩が月海と付き合うのを認めるってのもイマイチよくわからないよ。脩が月海たちに協力するのもぶっちゃけアウトじゃね?(花森さんはしょうがない)
デモをやるためにちゃんと許可証取ってくるというリアリティと、意思の確認すらしてないのにプロポーズ覚悟、イタリアまで行ってダサいクラゲ指輪を買わされるというおボコさファンタジーが同居する不思議。もちろん力業的展開としては間違っちゃないけどさ。 
そして蔵之介はとうとう月海に…というのも、微妙に態度として中途半端。弟のことを応援してるんならそれを貫くが良いし、奪うなら奪うでいいんだけど応援しつつ無自覚に月海を奪おうとするのはどうかと。
この辺は原作ちゃんと読んでるわけじゃないから細かいところはわからないんだけど、原作がそうだとすればいつもの勢い任せのしわ寄せというか、いろいろむづかしいですね。
 
ところで何となくふと思ったんだけど、オレはこのドラマは好きだしとてもよくできてると思うんだ。
でもこないだ「シェイプ・オブ・ウォーター」観たら明らかに気がついたことがあって、それは何かと言うとこういう社会からはみ出た人たちの生きづらさの物語、自分探しとしての「居場所探し」ってのはもう古いんだなってことなのよね。古いというか00年代の自分探し?
もちろん今だってここではない何処かを求める人たちはいると思うから、こういう設定として取り壊されそうな自分たちの住処を守るというお話はもちろん成立するんだけど、居場所があっても人はもうそれだけじゃ幸せじゃないんだよ。
今、生きづらさを抱えてる人たちは何を求めてるかというと「自分らしく生きること」だと思うんだけど、それは自分の生きづらさや不自由さを社会で認めてもらって、そのままの自分で生きるってことなんだと思うんだ。
だから月海や、特にまややみたいな社会性がない人が世間から隔絶したところでひっそりと生きるよりも、もう少し積極的に世間と関わってオタクな尼〜ずのまま社会に出て、それでもバカにされたりしないで折り合いつけて楽しく生きられる社会じゃないとダメなんだよね。
そうやってどういう形であっても積極的に幸せを掴みに行くのがイマドキの生きづらさの克服法であり(そういうものを求めてるかどうかはともかく)、自分たちの「居場所」があれば安心だという世の中じゃなくなった気がするんだ。(もちろん精神的・現実的に居場所は必要だけど、それを実際の住むところにリンクさせる物語というのがもう古いという印象))
海月姫をそういう目線で見ると、もうすでに時代とはマッチしてない感があるのは仕方ないのかなあと。
なのでなんとなくこの中で一番イマドキ的に正解なのはジジ様ってことなのかも。千恵子抄はもともと普通だし。
ジジ様、鯉淵パパにアドバイスもらってわりとあっさりやるべきことを見つけたしさ。
月海は主人公補正もあるけど、主体性なく流されてるだけだから… もはや本人は意図してないのに周りに求められて持ち上げられるお姫様願望とかありえんでしょ。いやそれが少女漫画だといえばそうなんだけどw
そいや、どうでもよくはないけど前回今回あたりから稲荷さんのメイクが薄くなった気がする。少なくとも口紅はもうバブルっぽいくっきりハッキリな赤ではないなw あんな濃いメイク、泉里香くらい美形じゃなきゃ単にクソダサいバブルメイクだよなあw