そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

FINAL CUT#9(終)

https://www.ktv.jp/finalcut/index.html
脚本:金子ありさ 演出:三宅喜重
 
まったく今ごろ最終回の感想とか、随分間が空いてしまいましたが、自分的には最後まで書けてよかったってことでw
しかもとっくに観終わってるとかじゃなく、ほんとに今見終わりました。あまりに面白かったんでほんとにリアルタイムでサクッと見終えたかったよ。
だってこのドラマすごい面白かったよ?キャスティングも好みすぎるし、何もかもが噛み合ってた奇跡のドラマだよw
多少ご都合な展開はあるにしても強引ではないので、それなり説得力はあったし、それぞれの登場キャラクターたちは裏表や本音と建前、もっと言えば行動原理が様々なので簡単に翻身もしないし、ファイナルカット動画を突きつけられても反省の度合いがキャラによって違うという、ステレオタイプなキャラがいなかったのが良かった。そういう意味で共感出来ない好きじゃないキャラはいても根っからの悪人がいない、だから逆になぜそうなのか分かるし納得できるってとこはあると思う。
その辺、演出陣はさすがの関テレでしっかりしてるんだけど、金子ありささんってこんなに目配せ利いた脚本書ける人だったっけ?そこまで追いかけてもなかったけど、ちょっと意外すぎて毎回脚本家の名前が出てくないくらいには目ウロコな良い出来でした。
最初は1話完結のゲスト話なのかと思ってたけど、それはあくまでもザ・プレミアワイドの面々のキャラ性を深掘りするためのもので、小河原家や佐々木蔵之介の謎めく上司はどう絡むのか、あえて慶介対ザ・プレミアワイドで対立させて復讐するのかと思ってたら警察までガッツリ絡んでる、慶介の望みはメディアの球団ではなく真犯人の逮捕だったというのも物語自体が何重にもなってて凝ってたし。
後半は加害者の息子で真実を暴こうとする慶介側と明らかにメディア被害を生み出してるザ・プレミアワイド(百々瀬中心)側、そこに捜査をした警察(高田中心)である程度三つ巴で展開するんだけど、慶介が実は警察官であるということもあって単純な加害者遺族=メディア被害者VS報道メディアという構図になってないし、報道と警察は裏で繋がってるところはあるけど、立場によって対応が違うし基本持ちつ持たれつなのでメディア側は勝手に自分らの利益を優先する。復讐者ではあるけど警察官という立場から恐喝まがいのことはしていてもやりすぎない主人公ということですごくバランスは取れてた。
おまけにそれぞれのキャラクターたちも絶妙に自分の方針(キャラクター性)とドラマ的な役割が意外と裏表、謎や秘密があったせいでどう動くつもりなのかわからない、でも辻褄もあってるしキャラクターがぶれないから説得力もあるというのは本当に奇跡的。
脚本以上に演出や制作側のドラマとしての方針の確かさ、こういうことを描きたいんだというしっかりした志を感じたよ。その上ちゃんとエンタメ仕様になってるから適当に派手な展開あるし、1話完結のドラマとして見てても面白かった上に展開状の謎や秘密の見せ方も上手かった。
キャスティングからして定番の顔ぶれ+意外性があるキャスト、まさか裕木奈江をこういう役で見ることになるとは。
あと個人的に高木雄也はごくせん3のときに相当アレだったんで苦手だったんだけど、思ったより上手くなってたちょっと見直しましたw(いや水球ヤンキースのときだって全然下手くそで邪魔くさかったけどさ)
そして何より最後にまさか山崎育三郎がくるとは!
最終2話分見るのが遅くなったんでうっかりネットでネタバレ見ちゃった…のは仕方ないけど、慶介や雪子、あえて12年前の若い頃の役者と今の役者を変えた客数キャスティングをしていることの意味がここにあったのかと。
いやだってさ、まさかずっと真犯人かと言われ続けていながらまったく登場しなかった人間がいきなり山崎育三郎だった時のインパクトw
しかもその本人がドラマ的にはずっと出てこないから、慶介が彼、小河原祥太を犯人扱いするのも本当なのかな?それだけの証拠があるのか?(その時点ではまだない)と思ってたのに、連続女児誘拐のサイコパス(反社会性パーソナリティ障害)じゃあな…というキャラクターに山崎育三郎ってw
このドラマ自体がメディア被害者の主人公慶介が、その巨大なメディアに対抗するために個人のアップロード動画を使うというすごく今どきな脅迫方法を取りつつ、脅される側もそれすらフェイクニュースを使って個人を潰しにかかるというスリリングな展開が面白いなあと思ってたんだけど、最後は結局その慶介自らフェイクニュースIT技術で鮮やかに真犯人を追いつめた!…と思ったらまさかの完全否定。サイコパス怖い!
確かに状況証拠は揃ってるし、そもそもアメリカ留学中の彼が女児に執着していたということを小河原パパも薄々知ってる、でも物的証拠はないから最後は自白させるしかないというその方法がまさか論理での殴りあいって。
論理的に相手を追い詰めていく慶介が、敵であり見方にもなるメディア側の百々瀬の前で(つまり彼らが得になる状況で)自分がやったとは絶対言わない祥太と論理バトル。法律に詳しくディベートも得意そうな祥太が最終的に慶介の引掛けの秘密の暴露で自滅という大逆転もスカッとしたし、最後までハラハラしたよ。本当にすごく、すごく見事な展開。
確かにドラマ自体に多少のツッコミどころはあるのは慶介が警察官なら、そもそも12年前の事件が本当に冤罪なら警察の大失態になるわけで普通警察なら身内の恥とか、逆に内部のこととしてどうとでも処理できるだろうよ…と、ダメな警察ドラマを想定してしまうけどさすがにそっちには寄らなかったw(だって警察ドラマじゃないもんな)
高田さんが最初誰の立場で動いてるのかわからなかったのも良かった。警察の思惑では動いてないけど慶介が嗅ぎ回るのも自分の隠密捜査に対してに邪魔くさい、だから排除しようとしたというのが前半は目くらましになってたし。
百々瀬にしても悪気はまったくなく、むしろ個人的な動機で動いてたプレワイのスタッフの方がもしかしてゲスい?と思わせるくらい清々しくメディアの申し子で良かった(笑)この人もうっかりするとソシオパスだよなあ。
ネットを縦横無尽に使い、名を騙って小河原家に取り入りアンダーグランドから真実を辿っていく慶介と、警察内部で地道に捜査資料を当たっていた高田、警察や個人じゃたどり着けない報道資料を持ち、アメリカでの祥太の足取り情報すら簡単に手に入るメディアという三位一体でやっとたどり着いた真実、どれか欠けてもこの真実にはたどり着けなかったんだなあという大きな流れは非常に見応えありました。
結局小河原祥太はどんなタイプのサイコパス(反社会性パーソナリティ障害)だったのか、それ自体を家族はどう思っていたのか、彼はどうなったのかについては語られなかったけど、それはそれでか。まあ気になると言えば気になる。できればスピンオフで見たいくらい。
語ることが多すぎるんだけど、あと最後に小河原家の雪子と若葉、若葉が勝手に慶介に入れあげるのは最後までよくわかんなかったんだけど(もちろん姉への対抗心とかもあるんだろうけど)、結局すべてが終わって慶介と雪子はきれいに別れ…いや確かにきれいな幕引きだけど分かれるのか…と思ってたら、最後はハッピーエンドで本当に良かった!
ご都合、じゃないんだよな。もしそんな事件がなかったらどうなっていたか想像したという雪子の言うとおり、同じ場所に事務所と保育所を構えていた以上、同年の二人が出会うかも知れない可能性はあるわけで。(さすがに当時小学生の若葉とはありえないよなw)
確かに言われなきゃオレも気が付かなんだよ。ねじれよじれた慶介と雪子の仲はもしかしたらそのまま終わったかもしれないのに雪子がそれを想像させたから慶介は戻ってきたのかもしれない…と思うと、とても美しくロマンチックだなあと思いました。(小並感)
いや本当に良かったと思う。慶介は事件が解決したから警察官をやってる必要も、メディア被害者の救済をやる必要もないわけだし、12年の間奪われてた自分自身を取り戻せばいいんだよな。文句なくきれいな終わり方でした。
でも慶介つか亀梨は2年前のちょっとウェービーな髪型のほうがセクシーで良いと思いますw