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ゲーム・オブ・スローンズ最終章(第八章)#6(終)

 
はあああ〜… 終わった…終わっちゃったー…
スマホをマナーモードにし、部屋をカーテンで閉めきり猫も締め出して、仕事を昼出勤にした相方と観たこの一時間半、完全に抜け殻。しかし自分的には大変納得のいく、よい終わり方だった。
ありがとうゲースロ、ありがとうゲーム・オブ・スローンズに関わった大勢のキャストとスタッフのみなさん。
日本で月曜の朝観るゲームオブスローンズを、アメリカ人は日曜日の夜見て、今こんな気持ちを共有しているのかと思うとちょっと不思議な感じがするね(笑)←リアタイ直後の感想ですw


以下当然ネタバレで。しかも今回長いです。







最終回もやっぱりOPが変わってました。とうとう王都はボロボロに。
そして、ああ〜… 初っ端からティリオンの険しい表情がツラい。
もちろんデナーリスのことを信じてたかったろうにその結果がこれだという絶望感。彼はデナーリスを信じたかったんだから、裏切られたというよりもこの惨状に対する絶望感しかないと思うんだ。
そんな彼に追い打ちをかけるようにジェイミーとサーセイもお亡くなりに。義務より愛が優った結果とはいえ、ジェイミーもとても残念。サーセイは…彼女はまあ仕方ないよね。自業自得というか因果応報。やっぱり彼女の好きな詩的正義(何話か前からのポエティックジャスティス=因果応報)な結末は当然かと…
そういや先週の最後のアリアが白馬で戻るシーン、ブランが馬に狼潜りしてアリアを助けにきたんじゃないかっていってる人がいて、それはなるほどと思ったり。アリア、白馬どうした?

そして勝利宣言をするために広場に現れるデナーリスの背後で飛び立つドラゴンの翼が、まるでデナーリスに生えた悪魔の翼のように見える演出たまらんね。ウェスタロスに悪魔がいるかどうかは知らないけど、視聴者からしたら大量虐殺の悪魔そのもの。ジョンの心痛もいかばかりか…
大草原のカリーシから始まって奴隷を解放し続けてきたデナーリスの目に、普通に暮らす市井の人々は見えてないんだよな。彼女が必要なのは兵士のみ。だから彼女が権力を持つためには常に戦い続けないといけない理屈に。
勝利宣言には聞こえない演説も、ジョンがヴァリリア語がわからなくて良かったよ。一体ウィンターフェルのどこに解放すべき奴隷民がいるのかと思うけどさ。あの城にいた時彼女は何を見ていたのか(それとも何も見てなかったのか)


デナーリスの正義の正当性とは?
オレたち視聴者がこのシリーズ中ずっと思ってきたことを、ティリオンがジョンに言ったよ。
彼女が奴隷商人や親方貴族たちを殺してきたときに、それを見てスッキリしてドラカリスは一発逆転の必殺技になっていた。けどそれは彼らが悪人だから正しい裁きだったと。(ドラマを見てる限り、彼らのやってることは悪いことだった。その街の法がどうであっても)
少なくともヴァリスやティリオンの考え方は、前時代的な中世風の考え方が支配するウェスタロス大陸及びこの劇中の人々の行動規範にそぐわない、リアルな現代社会においてもそうあるべき理想的な社会の有り様で、だから彼らを従えて女王を目指して奴隷解放をつづけるデナーリスは正しいはずだとオレら視聴者は信じてたんだよね。
でも彼女はとうとう正しいことを言ってたヴァリスを焼き殺し、ティリオンの言うことを聞かなくなった時点で正しくなくなった。この物語において間違った人たちがそうなったように、自分の感情のままに何の罪もない街の人々を焼き殺すような”悪人“は死ぬべきなんだよ、と。
「彼女は力を増すほど自らが正義だと確信した。すべての人々のためにより良い世界を作ることが自らの運命だと信じてる。それを信じるなら… 本当に信じるなら… その楽園作りを妨げるものを殺すと思わないか?」
ああ本当に、彼女にはこんな風になってほしくなかったなあ…


何をどうしてもジョンが…とは感じてたけど、やっぱり…という展開。悲しすぎる。
でも前から、いや本当ならそれは彼女の育ちを考えても、「王座を奪った後どうするのか?」という展望がないのはわかってたんで、こうしかならないよなあ。
人々が必要とするのは“物語”だとティリオンは言ったけど、父王を殺され、奪われた(と信じる)王座と王国を取り戻すため戦うというデナーリス(とヴィセーリオン)の物語は主人公にふさわしいと開始当初は思っていたのに、そうすんなりとそれが正しかったと思わせてくれなかったこの物語のほろ苦さよ。


特に(ちょっとイかれた)兄が王座を取り戻すための道具として育てられた美しい少女のメンタリティは嵐の申し子の名の通り、激しい怒りと憎しみのルサンチマンに満ちていて、「虐げられた者たちを解放する」という正しさが唯一自らの運命だと信じたこと、それ自体は間違ってはなかったけど、怒りと憎しみと力は簡単に正しさを裏切り目的を履き違えていくものなのだね。
でも実際彼女に民をを治めること、王国の女王になることの何たるかなんてわかっちゃいなかったんだよな。
王国を支配することは力を行使することじゃないし、民は彼女が思ってるほど賢くもないわけで。エッソスの各都市で力で解放したあとは統治しないままウェスタロスを目指したこと自体が急ぎすぎだったかと。
だからドラゴンという力を得てからは民衆が思うドラゴン=恐怖という図式に則り、実際彼女はその力を権力に変えて存分に行使したわけだけど、結果どんどん恐怖政治に陥ってしまったと。
権力の輪を壊すというけど、彼女自身が間違った正義感でその権力を自身のものにしていった果ては、やはり狂王だったという血統の確かさときたら…

愛は求めるけどそこでも自分が優位に立とうとする彼女の本質はまさに炎で、七王国全てを焼き尽くし、おそらくその焼け野原をして解放されたと言いそうな勢いはヴァリスにもティリオンにももちろんジョンにも止められなかったろうし(それまで生きていたら)、でもそのようにしか生きられなかった、誰も彼女がそれ以外の者になるよう正しく導く人間がいなかったのは悲しくも残念なことだなあと…


ちなみにリアタイ初見のときはジョンとサンサたちスターク家の兄妹の別れで涙出てきたけど、この記事書いてから2回くらい見返したけど、なんかどうにもジョンとデナーリス最期のシーンで泣けてしょうがなくて、デナーリスが間違ったのはどこからなんだろうとずっと考えてしまうよ。
直近で言えば引き金はミッサンディのことだろうし、北部で孤独を感じたことかもしれないけど、その最初はやっぱりターリー家のサムの父親と兄を焼き殺したことかなと。
でもあれをティリオンに諌められ(この時はまだ聞く耳持ってた)サムに悪いと思ってたのは確かだから、それがなぜ自身を変える方向にいかなかったのかと。ジョンの出生にしても排除しようと思わなければ闇落ちしないでも済んだはずなんだよな。やはり北部の結束を見て何か思うところがあったのか。スタバ風のコーヒーカップのせいじゃないよな?(おい)


そしてドラゴンの賢さがまた悲しいよ。
ジョンはターガリエンの血筋だから焼くわけにはいかない、むしろデナーリスを狂わせたのはあの鉄の玉座だっとわかってる賢さ。デナーリスを鼻先で押す仕草は何度見てもドロゴンの悲しげな咆哮とともに胸が張り裂けそうになるし、ジョン・スノウを焼き殺さなかったと言うことが彼がやったことに対する答えだよね。デナーリスが間違ってた。
それひっくるめて、本当にひとことで言うと、ドラゴンは賢いなぁと…(ところでジョンも炎で焼けないんだろか?)
ドロゴンの目撃情報の東ってのは今は亡きヴァリリアあたりなのかなあと思うんだけど、滅んだ王国で朽ちていくデナーリスの遺体を守る最後のドラゴンというのは、とても美しくまた悲しい。やはり最後まで物語があった稀な存在だったよ、デナーリス…


そういえば名前、この物語において名前はとても大事だったと思うけど(落とし子の名字、ラムジーがシオンにつけたあだ名、ジョンの隠された本名などなど)、名前につく肩書きもまた物語として重要よね。
デナーリスの「ターガリエン家「嵐の申し子」デナーリス。鉄の玉座の正当な後継者、アンダル人たちと最初の人々の女王、七王国の守護者、ドラゴンの母、大草海の女王、焼けずの女王にして奴隷解放者」…肩書きが増えるたびに彼女はそれに囚われていったんじゃないかなあと。だって人々に彼女を紹介するときの彼女の肩書きはティリオンがいう人々を団結させる物語そのもの。逆にその彼女に初謁見した時のジョンの肩書きのなさも今思うと最後への布石だったのかなと。
自分自身を持ってなかった、生まれは激しいけどただの美しい少女として売られた彼女が自分で得た称号に囚われ、そうなろうとして自分を変えていった結果恐ろしい狂王になってしまったのでは。ターガリエンの血筋は余程呪われてると思わざるを得ないです。
もしかしたらジョンがスノウ性を名乗らず最初からターガリエン家の世継ぎなら(そうなるとロバートに殺されるだろうというのは考えないとして)、ヴィセーリスがあんなに頭おかしくなければ…と思ってしまうよ。
正しいことをしようとしていたのに気がついたら間違った方向に進み、それに気づかない。最後は愛する恋人(実際は甥)に殺されるってあまりにも悲しすぎる。オレは今デナーリスのお高いフィギュア買ってもいいかもと思うくらい彼女が気になってるよ!‪売り切れてるけど!


ところでドラゴンピットに集まった諸侯のシーン、王都には雪が降ってきてたのに(灰ではなく今度こそ雪)ピットは全然そんな感じではないんだが…?王都よりも南にあるのかしら?
北部のサンサたちが王都に到着するのに少なくとも2週間はかかるから、デナーリスが死んでそれくらいの後ね。ティリオンもジョンも囚われたままだけど、その間王都はどうなったのか、人々はどうなったのかとても気になってんだけど、その辺は出なかったなあ…
ティリオンの処遇を決める場なのかよくわからないままいきなり王を決めて良かったのかしら。どちらにしてもグレイワームにはそんな権限ないよね。
新生ウェスタロスの王はブランに。ブランには全部見えてたんだよな。
北の古代の神々に属する三つ目の鴉とジョンをはじめ何人かの人々を生き返らせあるべく場所に導いた光の王は両方正しかった。(七神は何してたのかと言いたい気持ちはある)


そういやスターチャンネルの王座は誰にキャンペーン、結果はどうだったんだろうと見に行ったら当ててる人が92人いるね。
https://www.star-ch.jp/campaign/got_throne/
ブラン、予想しなかった人がいないとは思わないけど、あれだけ王座や権力は欲しく無いって言ってた人間が結局は王座に座る。そして今後の王位は血筋では選ばないってのは民主王政ってことでいいんだろか。どちらにしても三つ目の鴉、不自由王ブラン一世なら間違いはないってことか。


それにしてもデナーリスに忠誠を誓ったからジョン・スノウを処刑するべきと言う鉄の民ヤーラの発言の潔さがすごい。
あの場で王に立候補するエドミュアも相当だけど(オチ要員かww)何言ってんだろうと本気で思ったわ(苦笑)
あとロビン・アリン、あまりに大きくなりすぎててビックリしたけど中の人変わってる…?誰だかわからない諸侯もいるし、解説が欲しいところ。


結局第1話で王都に行かなかった子が王国を統べる王になり、華やかな七王国の王妃を夢見てた少女が北部の統治者に。七王国は六王国になり主人公は落とし子のまま。(ターガリエンの血筋もこのまま途絶えるよね)図らずもカースルブラックのメイスター、エイモン・ターガリエンと同じに。
王都の小評議会は復活し、元々は騎士でなかった人々がテーブルに着き再び王都を形づくるというこの結末。
王の手なのに几帳面に椅子を直すティリオン、女性の騎士のブライエニーが小評議会にいる事、ポドリックが騎士になってること、そして約束通りとはいえ、あの会議の場にしれっとブロンがいたことに笑う(笑)
せっかく肥沃なハイガーデンを貰ってもどんどんむしられていくし、でもまあ彼は計算高いから財務大臣にちょうどいいのかもw
あとやっとこの原作タイトルでありシーズンタイトルでもある「氷と炎の歌」が。シタデルのメイスターが書いたこの顛末がまさにこの物語だったよ。ティリオンが言う通りこの世界で一番強いのは“物語”かw
なのにあんなにも活躍したティリオンがスルーされてるってのが…歴史書に書かれなければなかったも同然ってのも皮肉っぽい。


それゆえにグッとくるのがジェイミーのページを書き足すブライエニーのシーン。何度見ても泣く。
ジェイミーが何をしたのか、彼とブライエニーがどういう関係でどういう気持ちだったのかにしても、歴史に残るのは北部の戦いが終わったあと彼が王都に行き女王を守って死んだという事実だけ。それをしたためるブライエニーの気持ちを考えるに、この記事書いてるだけで涙出る…当のブライエニーも鼻真っ赤。
最後の、スターク家のサンサ、アリア、ジョンのこれからの旅立ちをカット割って追っていくこの演出、とても好み。
サンサは北部の女王に、アリアは西に向かう冒険家か。ほんとこの世界の西には何があるのか。西に向かってたのに着いたところはエッソスの東の端てことは?それとも新大陸があるのなあ。てかこの世界は丸いの?
ところでジョンが着いた黒の城、最後にトアマンドが見られて良かった!ゴーストもいたけど耳どうしたのー!?ジョンと別れた時はどうもなってなかったじゃん。いつやられた?でも生きてて良かった。
そしてジョンは野人たちとともに壁のさらに北に向かってるけど、てっきりトアマンドたちを見送るだけかと思ってたのに彼は何をしにどこへ向かってるの?誰か解説して!


本当に終わってしまってぼんやり。前回まではどうなるんだろうと思ってたけど、この最終回はとても良かった。
急ぎすぎの脚本、エピソードをキリよく無理やり1話に入れようとして端折りすぎたり描写が足りなかったり、できれば対ホワイトウォーカー戦や最終回以外は引きになってもいいから1時間枠10話分として見せて欲しかったのはやまやまだけど、終わりよければすべてよし。
ジョンの決断からじっくりとキャラクターたちの描写を丁寧に描いたこの最終回は本当にこの物語を終わらせるにあたって心に残るエピソードになりました。
人々が必要とするのは物語だとして、一番物語を持っていたはずのデナーリスの過剰な正義は毒にしかならなかったという、とても悲しく苦いけど納得のいく終わり方だったし。
そしてそれが教訓にすらならないのがゲーム・オブ・スローンズ的だなあと。人々は前に向かって歩くのみ。
この膨大なエピソードをきれいにまとめ上げたスタッフとキャストの皆さんには感謝しかないよ。
あとはメイキング番組を待つのみ。もちろん修正字幕版と吹き替え版も。
一挙放送も2話づつのアンコール放送もあるし、最初からまた見返したいよ。今ならいろいろと見落としてたとこや長い布石や伏線にも気がつくはず。

https://twitter.com/starchannel/status/1129002735288823808?s=21
このドキュメンタリーの予告、放送後に見た時も思ったけど、エミリアのクランクアップって あの白い毛皮の衣装の時なんだよなあ…あれジョンとドラゴンで北部散歩に行った時だよね?最期のシーン取ってから最初の1話めを取ったのかと思うと…(>_<)
まあロケもスケジュールも過酷だったんだろなあ。お疲れ様でした。早く見たいよワクワク。