そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

テセウスの船#10(終)

https://https://www.tbs.co.jp/theseusnofune/
脚本:高橋麻紀 演出:石井康晴 原作:東元俊哉
 
ずっと登場してなかった佐野家のお兄ちゃんがしれっと出てきて、それがハライチ澤部なのが最終回で一番衝撃的だったよ!(苦笑)
 
先週見終わったあと、真犯人は絶対タイムスリップした大人のみきおが子供みきおの共犯者に違いない(つまりドラマの最初の時制がすでに大人みきおが改変した世界だった)と予想してたんだけど、まさかそれがそのまんま原作通りだったとは。

まあ普通は絶対そういう展開だよな。誰だってそうする、オレだってそーする。
いいけど先週テセウス最終回の番宣で鈴木亮平竹内涼真がいろんな番組に出てた時に心さんがあまりにも頭悪すぎるって言ってて、演じてる本人がそう思ってることにひと安心したよ!そうだよな、誰だって心さんってアホなの?って思うよな。みんなそう思うよな。(それを言っちゃう竹内涼真はどうだろうと思うけどオレは聞けてよかったw)

ただこのドラマオリジナルの最終回展開、本当に無理矢理過ぎるよ。
ごく普通に考えたら原作通りの真犯人になるのは当たり前。(他の展開やキャラクターが原作通りかはまた別として)それを違う犯人を押し立てようとしてドラマスタッフがこねくり回すのはミステリーとして先の読めなさを演出したいんだから当然わかる。ただその場合少なくとも、原作=作者&編集者が考えた物語よりも多くのスタッフが後出しで関わってるんだからもっと納得のいく”正解“を見せて欲しいと思うんだよ。まあ心ないのは最初からわかってたけど、ここまでくそドラマだとは。
その上で正志が犯人ならそれでいいけど、だったら校長(笹野さん)とか馬淵刑事(小藪)とか思わせぶりだけど中身のない演出や意味不明のやらせ演出をせず、ちゃんとしたミステリーとして成り立つくらいに話を練って欲しいと思うよ。伏線とか布石何もない辻褄あってるのかどうかもわからない唐突さで、正志やさつき先生はみきおに殺されたけどさ。たぶんその二人はみきおに関わってて、その後みきおがタイムスリップするのがわかってるから証拠隠滅のために殺した、用済みになったからでいいけどさ。そうなんだよね?子供の頃の記憶で32年間それを待ってたって考えると相当サイコパスだよな、みきお。
結局鈴とも結婚したしな。なのにずっと車椅子で半身不随を装ってるってどんだけだ。
 
それはともかく、あの終わりのシーン自体は嫌いじゃないけど、これ心さんが主人公だと思ってたけど最終的には文吾だけが記憶を持っててモノローグで語って終わるってどういうことよ。SFとしてあの最後のシーンの意味は分かるんだよ。わかるんだけど、それってどうなんだろうと。
主人公いつのまにかすりかわってるよ?文吾がタイムカプセルに入れた心さんの結婚指輪を持ってるってのはとても良い…けど、主人公は文吾じゃないよねー?もしかしてそれが「テセウスの船」ってことなの?
パーツを取り替え続けたボロ船はいつのまにか別のもの、別の未来を作っていたのだが、それは果たして元の歴史(家族)と同じものなのかどうか。いや家族は家族だから、どんな生き方をしても血の繋がった家族は変わらないから同じものに決まってるだろ。
むしろ心さんが頭悪くてあんまりその時の状況とか、自分が過去を変えることによって未来にどういう影響があるとか、見るたび毎回ヒヤヒヤしてたそれそのものが後先考えない心さんのヒーロー的な自己犠牲につながり、佐野家を救ったってことになるわけで。
佐野家が無事ならまた再び心さんは生まれてきて、今度こそ普通に警察官の息子として朗らかに育って東京で由紀さんに出会って結婚して命を繋いでいく…ということでよかったよかったってことだけどさ。

でもさ、これ正志が最初からみきおと共犯で真犯人だったとしても、どう考えても文吾に対して逆恨みがすぎる。そもそもが文吾は冤罪だけど正志は逆恨みで、ワザとじゃなきゃ殺人でもないと思うけど人を殺したのは確かじゃんよ。文吾のせいか?そんな大事件を忘れてる文吾も文吾だけどさ。(最初文吾があの村に来る前の事件のことだと思ってたよ)しかも恨み自体は父の面倒を見に戻ってきたことの憤懣。
そんなことで毒物混入で21人殺した殺人犯だけど、改変した後は数人か。殺されなかった21人は良かったねって話だけど。まあみきおも歪んだ感情で何人か殺してるし、それどうなった?その辺整理しないまま視聴者に投げられても。
しかし最初の時制では心さんがいなかったから佐野家には悲劇が起きたわけだけど、最終的な佐野家がみんな生きてる未来では佐野家の皆さんみんな32年前に心さんに会ってるよね?覚えてないの?それも歴史の修正力ってやつか?それともそんなことありえないと思っているから想像もしないのかってことなのか。心さんの死体どうなった?
てかさ、このドラマのこの話だと、「テセウスの船」という寓話は的を射てるのかなあ?パーツを取り替えた船は元の船なのかって話だろうに、過去改変ってことは一見変わっちゃいるように思えるけどこれ家族という構成要素は同じじゃん。そもそも部品を取り替えて新品になった船は元の船じゃあないよ?つか記念に取っときたいなら部品は交換すんなって話だよ。
 
ドラマとして一応突っ込むけど、何か怪しげに見せつつ結局何だったんだみたいなミスリードにもなっていない思わせぶりな演出がうまくいってるかといえば本当に思わせぶりだったって、何それ的な。
校長、何かあるのかと思ってたけど本当にただただ思い出話をしに来ただけだったし。さつき先生が昔子供を堕したっての突然出てきたし、そうさせたのが校長の息子で、でそれお父さんである先生に相談するー?てか堕したとしてもあんな村じゃああっという間に噂だよ。よく村にいられたなあ。
校長の塗りつぶした絵とナイフ、正志が使ってたのは普通のジャックナイフだったけど、結局いつも鉛筆削りに使ってるナイフが見つからず?鉛筆を砕いて?芯を紙で削って尖らせていただけってこと…だよね?あまりにもバカバカしいよ。職員室にナイフの一本、鉛筆削機の一台もないわけじゃあなかろうに。
みきおはあのあと意識を取り戻したんだろうけど、そもそもなんで青酸カリ飲んだ。自殺する人間か?現在でさつき先生とお店やってるって、子供の時のその殺人の記憶どうしたん。
どちらにしても大量殺人の犯人ではあるはずで正志が捕まって文吾が冤罪じゃないのにお咎めなし?正志、心さんが未来から来たって知ってるのにどうなった。
あと細かいけど子供みきおがレコーダーで録音しながら自白してたけど、それ心さんが録音していたのならともかく録音していることを知っているみきおが録音してることを知りながら自白をしているって、その内容を信じる心さんがおかしいよね?
あと鈴が見た目貫地谷しほりなの、身元を隠すために整形したからっていったよね。冤罪じゃなくなったこのラストの世界では整形する必要あったの?
細かい演出でいったら心さんと文吾が別れた後に意味ありげに車の端っこだけ映すとか、誰かが駆けずり回る心さんと文吾を見てるみたいな目線の映像とか、あまりにも中身がなさすぎるよ。
むしろそんな中最後の文吾が指輪を見つめるところだけは正しい演出だったというか。だから余計にあまりにも心なくインチキやりすぎてるといいたい。こんなレベルのドラマでいいってことが既にクソ。キャストたちに謝れといいたいよ。ユースケの無駄使いって言ったけど、竜星涼も無駄使いだったよ。何だったんだ。
そういや似たようなネタの「僕だけがいない街」も実写映画版の改変はクソだった。上手くできないならこういうタイムパラドックスネタをうかつに扱うなといいたい。