そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

テネット(IMAXレーザー)

http://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/

監督・脚本:クリストファー・ノーラン

 

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ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デビッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・バン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。(「映画.com」より)

 

 

金曜土曜とうっかりしててもう満席で、やっと予約が取れたのが日曜の夜の回。もちろんTOHOシネマズ新宿のIMAXレーザーですよ。(できれば池袋の巨大IMAXでも見たい)

まずはネタバレに配慮したTwitterの感想。

 

  • テネット観たけど、この映画ヤバいね、絶対もう一回観る。ワケのわからなさときたらありえないレベルだよ。映像体験として頭おかしくなりそう!
  • ネタバレを先に見せられてその伏線を見たあと答え合わせしても意味が分からない。映像として特異すぎるし、単なるタイムリープでもないし、何でこんなこと思いついたのか?でも面白いんだよ。
  • というか街中で後ろ歩きして「テネット!」とか言うw
  • しかし飛行機のあれにしても時間逆行の映像にしてもCGほとんど使ってないんだろうなあと思って見てたけど、とんでもないですな…
  • 見終わったあと感想話してて主人公の名前が思い出せない何だっけー?と思ってたけど、主人公の名前はなかった!
  • ただ面白かったんだけど、最初の1時間くらい、どういう話で主人公の目的は?ってのがまったく掴めなくてかなりつらかったな。
  • そもそも××(※ネタバレ配慮)が主人公なんだけど、話の構造上それを悟られないようになってるから、主人公のが知らないこと多すぎるのが全然説明されないままで。空港のミッション、カーチェイスのミッションまでの逆行に何の意味があるのかもわからず。
  • 逆行(時間遡行)の描写自体は感じることである程度理解は出来るんだけど、今回の作品の場合、インセプションインターステラーみたいにアイデアを可視化することの凄さとそれを使って語る物語の意味という意味でいうと、テネットはそれ自体に意味があるワケじゃないのが余計にわけわからなさを助長してるのかなと。
  • ストーリーの大枠はむしろターミネーターだよね?

 

この映画、どう感想を言えばいいのか…最近特にこのブログでの感想書くの下手になってるんで少し迷ったよw

観たあと相方と感想を話し合って、家に帰ってパンフレットを読んで確認したけど、初見でもなんとなくは掴んでた…ような気はするw

もちろん意味がわからないとこやパンフ読んでなるほどと思ったとこはあるけど、そういう意味ではSF的な理屈は突拍子もないし今まで見たことない映画だけど、映画の構造としてはそこまで難しくはないかなというところ。最後まで見ることでやっと話の全容が掴めるという意味でむしろノーラン監督初期作品の「メメント」に似てると思う。あくまでオレの私見だけど。

いろいろ確認した上でのひとまずの結論がこの感想ということで、あえて観た日の日曜日じゃなく月曜日の更新にしました。

パンフを読んだ限りでは時間逆行の認識については間違ってなかったので大体の大枠では正しくこの映画を理解していると思うけど、ただやっぱり見てる間は時間逆行については理解しようとするな感じろという劇中で言われてるそのままってのはノーラン監督の予防線かなと思ったり(笑)

(パンフには一応時間逆行理論の説明はあるけど、あれでも足りない気はするのと、ちょっと図表でそれはどうなのと思ったとこがあるので)

感想としては徐々にネタバレすると思うから、見てない人はこの先読まない方がいいです(当然)

あくまでもオレの解釈感想ということで。(垂れ流さずにはいられない)

主演はデンゼル・ワシントンの息子って言われたら、なるほどそうですか〜って感じ。そしてニールのロバート・パティンソン、彼トワイライトのセクシーバンパイアの人だよね?あまりにイメージ違うんでビックリしたし、トワイライトの大ブームからもう10年以上立ってることに戦いたわw

 

映画としてはメメントに似てると思うのは、印象として途中で見えてる事実(“時間“ではない)が反転するから。

ただこの作品の場合「反転する」というアイデアそのものがこの作品のメインになってることもあり、「インセプション」や「インターステラー」みたいに思いついたアイデアが主人公たちの深い心理描写や物語の面白さに直接は繋がっていないという点で、物足りないと言えば物足りないのね。

これは最終的にストーリーと物語の構造を理解するのが最後の最後だということ(それ自体も重要だけど)を考えても、それでじゃあ何の話だったのかというと、主人公である「名もなき男」と相棒のニールの壮大な友情?の物語だったと言われてもピンとこないというところで。そこにどれくらいの確信性があるかといえば、劇中で語られる未来の脅威、第三次世界大戦が起こって未来人の侵略が始まってるということの信憑性がほとんど感じられないのと同じくらい。

これは未来からの侵略の脅威の実態がつかめない=敵であるセイターが、恐ろしい武器商人であるという以上に敵であることに実感がないってこととも取れるんだけど。

 

そもそもこの映画自体が映画としての新奇性と映像の面白さやアイデアの具現化が優先されているので、インセプションのように予告映像で見た者は目を引いたけど本編はそれ以上だった!みたいな "わかりやすい" 驚きではないこと、先に言ったようにそれがストーリー( ≠ 物語)に対して面白さを担保してないことが、余計に映画をわかりにくくさせているんじゃないかと思ったり。

ただ面白くないかと言えばそうでもなく、そういうノーラン的な分かりにくさ引っくるめてすごく面白かった!

でもそれでも!物語の始まりから1時間近く(タリンでのハイウェイカチェイスまで)はこの話は一体何が目的な話なんだろう?とそっちの方が気になってしょうがなかったんだ。

これスパイアクションという触れ込みだけど、スパイっぽいミッションのための主人公に対する説明は全くないので観客としては主人公がやってることが何のためのミッションなのかがわからないから共感も理解もできない…というのが問題なのかなーと思ったけど。

これもメメントと同じく 映画の最後まで見終わったところで、やっとその謎が解ける作りになってるから仕方ないっちゃ仕方ないのか。

 

このストーリーを主人公とニールの友情の話というならもう少しその根拠、例えばターミネーターで過去にやってくる主人公くらいにはあれば全体の縦糸としての物語の言いたいことがはっきりしたかも?だってニールあのあと死んじゃうんだよね。

そして主人公がこの先何年後にニールと再会するかわからないけど、ニールはそこから何年かかけて時間遡行するんだろうし、そもそも時間を逆行するといっても当人の主観の認識は常に増大であるというのがわかってないとこの時間逆行トリックは理解できないかなと思うんだよ。それがこの作品がタイムスリップやタイムリープものではない、ネタとしてはなくはないけどものすごくわかりにくい、さらに見どころとしてはそれよりも映像現象だっていう特殊さなのかと。むしろそこにシビれる憧れるー!

時間の逆行と同じく、そこで展開する大掛かりな構造の物語なんだというのが分かってからカタルシスが得られるという話。

 

ネタバレ的に言うと、冒頭なんの説明もなくこの組織に入ることになった主人公の行なっているミッションが、何のため(映画視聴的にも)なのかがわからないのは当然で、なぜならそのミッションをさせているのは "未来の" 主人公本人だから。

面白いと思ったのは、何もわからずに見てる観客の目線そのまんまが主人公の知る全てなのに、主人公が時間逆行という理屈に対してものすごい理解が早くて、見せられてる現象に観客がついていけない?まま話進むんだよ。

そのままよくわからない逆行現象の盛り上がり3連発、そして大団円w

いや何が起こってるの?ってのを説明しなくてもいいと思ってるノーラン監督の力技すごいわw

時間逆行のアイデアがタイムスリップでもタイムリープでもないのでタイムパラドックスじゃないしパラレルワールドになるわけでもない。同じ人間が同じ時間軸に存在してるのはどういう理屈なんだろうとか話が進むたびに疑問は増えるけど、それを考えてると余計に混乱するからありのままを受け入れながらストーリーと謎を理解するしかないのは頭フル回転すぎる。

つまり観客が知ってるタイムSF的な理屈を総動員しても理解がおっつかないのに映画時間軸はどんどん先に進むというね。

念のため、博士の説明してくれた時間逆行する弾丸が重力に逆らって手に戻るのはなぜなのか…はわかってる。矢印が逆になっているだけでそれ自体のエネルギーをエントロピーの増大と減少で説明される、テーブルの上にある弾丸が手に戻るためにはそのあと落とさなければいけない、つまりそこでエントロピーはゼロになる(静止する)という理屈が理解できればOKという強引さ。(それでも“逆行するエネルギーを持ってる未来から来た弾丸“て意味わかんないけど)

この映画のためのチュートリアル(練習)かよw

 

この映画の特異なところはオスロ空港とハイウェイでのカーチェイス、最後のスタルスク21での作戦と、3回大規模な時間逆行を見せているけど、逆光については普通の物語のように伏線や布石を張ってそれを回収するネタバレがあり答え合わせがあるというのではなく、まずネタバレがあってそのための伏線や布石を見せ、そこから何が起こったのかを再構築しないといけない。ぶっちゃけ映画を見終わったあとで脳内再構成して答え合わせをしなきゃ全容が理解できないというのがより複雑さを増しているのじゃないかなと。(だからそれが面白楽しいんだ)
レビューを見てたらチラホラと一時停止や巻き戻しが出来ない映画館で観るには向いてない…というのがあったけど、じゃあ君らはメメントを時系列で繋ぎ合わせたものを面白いと思うのか?と問いたいよ。
この形式だからこそ面白いと感じるし、何度も観たいと思わさせるんだよ。ノーラン監督すごい!
ただそれでも説明不足な部分はあると思うのは、第三次世界大戦が起こり先がなくなった未来人が時間を反転させようとしているという理屈が飲み込めないままの観客は(その時点で理解してれば別だけど)言われるままにミッションを遂行する主人公ではないので、まずその前提を信用出来ないこと。

時間を逆行する弾丸というのは何なのか説明がないので特殊能力に思えること。
セイターが選ばれた理由がわからないから悪役感がないこと。(人として酷いのとはまた別)あとセイターのガンについて、核の爆発物とプルトニウムと呼ばれていたアルゴリズムをあえて混同させていた?ことで、観客は(単語の認識として)無用に混乱すること…あたりはストーリーの構造上のトリックでもないと思うので、なぜそうしたのか理解し難いってことか。その辺インセプションの階層構造をうまく説明できてたこと考えても今ひとつかなと。(インターステラーの五次元はギリギリ)
基本、最初の空港ではあえてのわざとなのか、ストーリー的な時間の巡行逆行の妙と映像的な面白さの逆行描写を混ぜて、わざと混乱させてるところはあると思う。というかこの映画のほとんどが映像的な面白さだけを狙ってるんだろうとは思ったけど。
本当なら主人公の目線としては、常に主観としての時間はプラスのはずなのに逆行というワードと現象でそれを隠しているというのが、このストーリーの構成上の大嘘なのかなあと思ったり。
そもそも主人公が選ばれたこととセイターが選ばれたことは同じなんだろか?主人公を選んだのは未来の主人公=この壮大な作戦の黒幕…であれば、セイターを選んだのは誰なのか、とかね。その未来人の描写がないからそもそも第三次世界大戦が起こるということに確信が持てないんだけどね。

とりあえずここまで。

日曜にこれ観たんだけど、映画館のクーポンの機嫌に気がついて火曜日に2回目観に行くことになったのでwもうちょっとじっくり考えたかったんだけど。

 

そういや劇中で主人公のブルックスブラザーズの一張羅のスーツが揶揄されるけど、まさかかのブルックスブラザーズがこの夏経営破綻するとは、時間を操るノーラン監督も未来から来た男たちも想像もしなかったって事ですかね?(苦笑)

あとセイターが名もなき男を誘った競技ヨット、相方があれ何って言ってたけど何となくアメリカズカップとかで使うような競技ヨットだろって思ってたんだけど、改めて調べたらフォイルボートとかカタマランヨットとかいうやつでいいのかな?(パンフ見たらちゃんと船種もあったけど、フォイルカタマランてやつみたい)いつの間にか進化してた!カッチョいい!ヨットレース大好き。