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ワンダーウーマン 1984

http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/
監督:パティ・ジェンキンス 脚本:ジェフ・ジョンズ デビッド・キャラハム
 
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DCコミックスが生んだ女性ヒーロー、ワンダーウーマンの誕生と活躍を描き、全世界で大ヒットを記録したアクションエンタテインメント「ワンダーウーマン」の続編。
スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、幼い頃から厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士ワンダーウーマンという、もうひとつの顔があった。1984年、人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。
前作でもメガホンをとったパティ・ジェンキンス監督のもと、主人公ダイアナ=ワンダーウーマンを演じるガル・ギャドットが続投し、前作でダイアナと惹かれあった、クリス・パイン演じるスティーブも再び登場する。(「映画.com」より)

 
公開が6月から10月になりいつの間にか12月公開へ。やーっっっと観られました! ヽ(゚∀゚)ノ
ポスタービジュアルの黄金聖闘士のようなゴールドの鎧に赤と青の煌めきが80年代っぽい華やかさ。相変わらずぱっと見で強さと優しさを感じさせるガル・ガドットのダイアナは最高でした!
あとダメ人間にも救いをくれてるあたり監督の優しさを感じる。ホロリ。女性監督だから優しさでキャラに寄り添えるってワケでもないと思うけど、これに関しては意図的にでもそういうところは押さえないとって感じかな?ジェーンもマックスも生き方が要領悪いってだけで悪い人間じゃないんだよね。
 
これをいうとジェンダー論になりかねないとは思うけど、他のヒーロー作品の男性ヒーローと比べてダイアナの良いところは、神に等しい力を持ってて強くて聡明なのに死んだ彼氏のことをいつまでも愛してることが弱みにもなるような女性らしさ/人間らしさか。
あまりにも強くてクールだから、今回ヴィランポジションのジェーンみたいなタイプのドジっ子ダメ人間からしたらスーパーウーマンに見えるけどその本質は他のみんなと変わらない。どんなに強く見えても1人の人間として共感できるところがあるし、彼女の優しさ、クールなようでちゃんと正しく人を見てくれてるということをきっちり拾っていくのは女性監督の細やかさか。

オレはなんとなく今回は敵のポジションやダイアナが力を失う様を見ててスパイダーマンを思い出したんだけど、スパイダーマンも男性ではあるけど大人じゃない、子供だって意味では「完全=大人の男性でなくてはいけない」という縛りがない故の自由さやしなやかさを感じたというか。
とにかくDCものではやはりワンダーウーマンは抜きん出て良い。ずっと彼女の活躍を見守っていたい。最高✨✨✨
あと今回は音楽がハンス・ジマーだったけど、冒頭からセミッシラの競技会への導入部分の音楽が、今までのハンス・ジマーでは聴いたことない素晴らしい楽曲で初っぱなから震えた!軽やかな女性コーラスがすごく派手で華やかで印象的で圧倒的多幸感!エンドロールも最高!!(Youtubeでサントラ公開してるって!)
ところでダイアナがまだ幼い少女なあの競技会、一体紀元前いつの時代?神話の時代か?
アクションもカッコいいし冒険ものとしても十分楽しめるし、しかも今回なぜか前作で死んでしまったクリス・パインのトレバーも出ずっぱりだし(なぜか昔よりカッコいいぞ)目の保養的なビジュアルとしても最高。
しかし問題がないわけではないのは、脚本が… ってことで以下ネタバレで。
脚本の練り込み不足か今回の話のキモがいまいち見えにくいのと、結局石の正体がわからなかったせいで若干面白さは微妙かも。(また書き過ぎた!)
 
 
 
前作のワンダーウーマン登場編が1918年の第1次世界大戦末期、今から100年前、DCもマーベルもない時代(そりゃそーだ)にあのド派手なコスチュームで活躍するスーパーヒーローってのは異色だった。それが66年経ってみたら時代にベストマッチ!(そりゃそーだ)
そして今回あえて1984年設定なのはなぜだろうと思って観てたけど、まあ普通に東西冷戦時代の世界情勢の不安定さは最近のビックガジェットでなくても話が作りやすい美味しい世界。30〜40年前の世界はまだまだこれからって感じのある意味ゆるくていろんな設定のしがいがあるよね〜ってことかなと。
その上今作のポイントはあらゆる夢を叶えるドリームストーンをめぐる話。80年代はありとあらゆる消費が拡大し、全世界的にバブル景気で人々の欲望全開になっていく時代として、それが行き過ぎたときの可能性としての悪魔のシミュレーション風にも見えたり。
悪役であるマックスが悪事に意図的な狂信者じゃないからその辺ちょい弱いけど、いや、マックスが「敵」じゃないってのがポイントなんだよな。ただそのせいでストーリー的にちょっとぼやけちゃったってのはあるんじゃなかろうか。
うーん、ガル・ガドットワンダーウーマンってだけで絶賛できるし、テーマとして描こうとしてること自体はすごく肯定したいんだけど、前作よりも脚本はダメだったなと。ハリウッドの大作なんだしお話的にもわかりにくいわけじゃないんだからもう少し練って欲しかったかなあ。
 
人々の欲望を叶えるドリームストーンの話だとしても、調査した割にその石の出どころははっきりさせなかったし。
これがもし前作の戦いの神アレスみたいなはっきりした「悪意」があるものだとすれば、そう示唆しとけば解決しなくても次への展開になったろうに。
ドリームストーンを与えることで文明を滅ぼすやり方が、「人々は一度手に入れた欲望を手放さず自滅していった」というのも、願いキャンセルがあったり、意図しない願い(しかも代償を伴う)と知らずに願うってことがストーリーとしてはあまりフェアじゃない気もするしなあ。
石の箱にマックスの領収書があったのも謎のまま。マックスがそもそも(非合法に?)手に入れようとしてたの?ショッピングセンターの強盗騒ぎ、てっきりマックスが画策して石を手に入れようとしたんだと思ってた。単なる密輸品を売り捌いてる闇業者だったの?あそこに石はあったんだよねえ。ちょっとわかりにくい。
マックスが権利を持ってる採掘場が石油が出たって言ってんのになぜエジプトの石油王のとこに石油買い付けに行った?彼の願いを叶えるのが世界情勢的にまずいことを引き起こすのはわかるんだけどそれは彼が意図したことではないし、その辺の重要度がわかりにくいからさっぱり。彼は大統領を操って衛星にアクセスして人々に声を届けたかったってだけだよね?
良かったのはドローンで見る大ピラミッドとダイアナのカッコいい高速道路アクションが見られたのと、あと雲の上から見る花火が大変ロマンチックだった!(あれもどっから戦闘機持ってきたかちゃんとわかるようにすれば恋人たちの無邪気なロマンチックコメディ感も出ただろうにね)←ロマコメにありがちな盗んだバイクでデート気分…どころじゃないけどw
 
そして願いを叶える代償は何かもはっきりしないし、マックスがドリームストーン自身になって次々と大きな願いを叶えていくのだってものすごくふんわりしてるよ。パンフ見てもちょっと勘違いしてるっぽいけど、あれは人々の願いを叶えるという体で自分に都合のいい願いを言わせている、まさにマックスの口先8寸の才能だからこそ生きた使い方なわけで。その挙句が滅亡って、アレスの介入みたいなドリームストーン自体の悪意がないとちょっと納得できない。
そのマックスがテレビの有名実業家、その実は借金だらけの詐欺師まがいってのも、最初の羽振りがいいとこの描写がないからなぜ人気の有名人なのかわかんないし。最終的に息子が大事、家族を幸せにしたかったというならそういう流れで見たかったかな。
あと息子が願った「お父さんと一緒にいたい」、結果としてそうなったけど石の魔力だと見えないのはそれはそれで中途半端じゃないかなあ。
 
ダイアナの孤独と寂しさは冒頭から十分描かれてるけど、それでもまあジェーンみたいな女性の孤独と比べられても…って気はしなくもないな(苦笑)
というか、その寂しさがふと意図せず「トレバーに会いたい」という願いを言ってしまうことになるんだけど、トレバーとずっと一緒にいたいという願いはものすごく良くわかるんだけど、その代償がワンダーウーマンとしての力だってこと以前にさ、トレバーは土塊から生まれた錬金術亜人間ってわけじゃなく既に存在してる男性の体を借りたかりそめの存在だよね?
ダイアナからしたら「トレバーにしか見えない」にしても他人から見たらトレバーじゃないし、聡明な彼女が誰かの犠牲の上に自分の幸せを享受することに気がついてないわけないと思うんだけど、映画的にそこにツッコミがなかったのは本当に解せんかった。それは「真実」じゃないじゃんよ。今回のテーマは「真実」なのに。
例えば彼女がスーパーパワーを失うのはトレバーの復活を願ったことじゃなく、絶対的に正しいはずの彼女が死んだ彼氏と一緒にいることを願うその私欲ゆえ…というその方がわかるんだけどさ。
 
それもあって、実は冒頭のセミッシラでの競技会でズルをしたダイアナが怒られるところ、その失敗の教訓と真実ということがどこで結びつくんだろうと思ってたんだけど、結局前振りになってなかったような。ダイアナがズルをしたとこはなかったよね。
あえていうなら本物でない恋人の存在という「真実でないもの」に対して目を閉じ見ないふりをしていることに対する戒め?どちらにしても願いに対する代償はあるにしても、成り行きとして意図してなかった願いなので彼女のせいでもないよなあとしか。(つまりその辺のツッコミが甘いって言いたいんだけど)
その辺、ざっくり1度見ただけでもこんなにもその脚本はどうじゃろ??みたいなとこがありまくり。映画サイトのレビューが低めなのもわからんでもない。
ぶっちゃけ2時間半は長すぎるのでカットしてくださいよ…と言いたくなるのも確か。
 
ジェーンがダイアナのような強さとセクシーさとクールさが欲しいって願った時に、「美しさ」は言わないのね…と思ったけど、ジェーンの変貌もちょっと目を見張るものがあり、男性と違って女性だからなのか内面の自身が外見的ビジュアル(ファッションやメイク)に出てくるところはちょっと面白いと思った。チーターになったの、ダイアナが最初に会った時に豹柄のハイヒール履いてたからだよね。
でもダイアナになりたいと願うことでジェーン自身も知らない彼女のスーパーパワーも手にしてしまうのはやっぱりよくわからないし、ダイアナのパワーダウンと相まって混乱するかなあ。
 
ただ本当に何度も言うけど、この欲望の時代の幕開けである1984年、相変わらずダイアナ・プリンス=ワンダーウーマンは比類なきほどにカッコイイのと、もう出ないと思ってたクリス・パインのトレバーがイチャイチャと幸せな恋人同士なのを見られたのは良かったのです。ダイアナがカッコ良すぎてファッションその他にあまり80年代的ダサさが感じられないのはまあともかくw
前作で島を出て全く外の世界のことを知らなかったダイアナにいろんなことを教えたトレバーが、今回は66年経っていくつかの戦争とテクノロジーの発達と文化の変貌、世界の代わりっぷりを逆にダイアナの方が教えてあげるとか、おかしなファッションショーだとか楽しいデートとか、そう言うところがカットできなかったのはわからんでもない。だって楽しいもん。あとダイアナの幸せはオレたちの幸せ!
 
それにしてもちょっとびっくりしたのは、願いの代償にスーパーパワーを失っていくダイアナが「誰これ?」ってくらいブサイクに見えたとこですよ。単に力を失ってるから?気持ちの問題?でも吹っ切って願いを取り消したとこからその覚悟の見え方もあって傷がみるみるなおっていく(メイクとCG技術)に伴って元通りの輝くばかりの美しさを取り戻すところが、もう一片の非の打ちどころもなくダイアナ・プリンスだったし!信じられないメタモルフォーゼを見るようw
クライマックスはちょっとご都合な気もするけど(あの衛星の電波は双方向なのか?)、マックスも根っからの悪人ではない、ただ欲望に支配されただけのただの人間だったし(だったらやっぱり邪神の存在とかあったほうが分かりやすかった気がするけど)何より最後の最後であの生い立ち見せられちゃあなあー。
ただ逆にその辺で安易な仮想敵がいない、マックスも息子のところに戻れたし、ジェーンも生きてたし、核で人類滅亡寸前だったのも元通りってのも(さすがになぜ?とは思うけど神の御技ってことにしとくけど)、ダイアナか守るべき世界の美しさなのかも。
そういや、ジャスティスリーグの時に(現代設定)いつの間に空飛べるようになったの!?と思ってたけど、トレバーの教えかww
スパイダーマンのように風を捕まえたり稲妻を捕まえて大空を飛び回り風を読んで滑空するって、まさに神の御技!
 
エンドロールのあとにもオマケがあるけど、まさかのあの人!伝説の戦士の子孫…って、本人でしょ?元祖ワンダーウーマン!リアルにメタ伝説持ってきたw
あとこれ6月公開だったから最初がアメリカ独立記念日にしても、最後はクリスマスだから中途半端に10月とかじゃないこの時期公開でちょうど良かったんじゃないかな?それとも追加で変更した?
とにかく満足でした。もう一回見に行きたいなー。本当に今回はハンス・ジマーのサントラサイコーです。