http://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.html
脚本:武藤将吾 演出:都築淳一
おまけの一話、伊達最初の事件の巻〜。
総集編的な今までの事件を振り返りつつ、伊達の最初の事件の話、つまり伊達がJOKERとして裁きを行うに至った心情と、最終回のその後の話を上手くまとめた、これまた武藤将吾の脚本が冴えてるお話。過去のシーンが出てくるとどうしても見てる方はダレちゃうんだけど、まあそこはそういうものとして。おまけだってことを考えると展開自体は上手い。
最終回から一ヶ月経ってるって設定で、冴子の部屋を整理しに尋ねたあすかと久遠が鉢合わせ、二人で今までの事件を振り返る事自体が伊達がJOKERをやってることの動機を探ることになり、そのまま視聴者は伊達の最初の事件を知ることになる‥‥ってこれ、あすかや久遠は知らない話だよね。
伊達が神隠しの対象者を捜査しなおしたり、なるべく神隠しをしないですむように一応努力しているってことで、今までの神隠し事件の正当性を保証しようという話でもあるんだけど、結局これの言いたいことは、人は間違うかもしれないとか、正義の行いが必ずしも正しい訳じゃないってことなのかなあ。いやもうちょっとなんかうまい言い表しようがあると思うんだけど。うーん、わかってるのに出てこない。
最初の事件のターゲット、中崎(鶴見辰吾)が最初は病気の息子のためだった暴力団との共謀がいつの間にかそれ自体やめられなくなって伊達の説得にも応じない、警察官の正義もない‥‥だから神隠しをするっていうのは、伊達のやってることが被害者救済という正義だってことだよな。それはこのドラマが描いてきたことではあるんだけど、更にその先があったってことで、ちゃんとまともな倫理感があるドラマだったって描いたことは大きいよ。
警視庁の裏警察、UNDERGROUND Vについて、あすかはそんなことが許されるわけないといい、三上は必要悪だといった。じゃあ伊達は?ってことだけど、三上の頼みのまま神隠しは続けるといっただけで、伊達の答えは最終回では描かれないままだった。
だけど、組織に潜り込んだ井筒さんのそもそもの目的であるところの組織を暴くっていうのは、組織の秘密を守るために罪の無い誰かを殺すようなことはあってはならないってことで、そうせざるを得ない状況は三上のケースみたいにすでにあったわけだから、結局「そういうことを許してはならない」っていう結論だよね。
被害者の救済は必要だけど、それ自体が本来警察がちゃんと捜査して解決すべきことで、裏の組織に頼るべきではないというのが「正しい正義である」ってことをちゃんと描こうとしてんだよな。
最終回のまま終わってたら結局「俺正義」が許されることになるんだから、最初の事件と伊達の正義感を描くことで、このドラマが物語として描いてきた正義を、そういうこと自体があってはいけないことだって否定して正しい倫理観で終わらせたところが良かった。
だから伊達は法で裁けるものはそうするべしという気持ちを持ちつつ神隠しをする罪は自分で背負うんだろうから、三上はそこら辺わかってなかった弱い人間だったってことになるのかなあ。
三上が探るなといった組織のことを井筒と久遠と伊達で調べていくっていうのは、最終回後のオチとしてもいいし。神隠しは続く‥‥よりも、むしろ爽快(笑)
つまるところ、そういう私刑を必要悪だと言って思考停止することは許されないんだよな。三上みたいに矛盾が出て罪の無い人間を殺すことになるように、いつか裏警察も腐っていったり間違っていったりするかも知れないし、結局人が人を裁くことはどういう事なのかっていうことを真面目に問いかけたドラマだったってことですね。ちゃんと正しい答えを見せたってことでも秀逸。
フジもやれば出来るんじゃん(笑)この最終回後のEX的な話は、こういう構成を含めて上手いよ。こういうドラマはちゃんと評価してほしいなあ。
あ、最後の最後に来栖と一課の二人が出てきて小説本の紹介をするのに笑った!ステキ!平山さんの声がいきなり調子変わるのも(笑)